久々[電車エピソード]。回想開始。何故か状況付き(↓)
『あ、昨日より一本早いやつに乗れるかも…!』
時計を見て、改札を通り階段を早足で駆け下りた。まだ電車は到着していないようで、久しぶりに暖かい冬の朝、プラットホームに人影を見た。ほっとして足を緩める。最後の数段をゆっくり降り切った頃、丁度電車が滑り込んできた。
暖房の効きすぎた車内にはすでに多くの人間が乗っており、さらに後ろから乗り込んで来たので早々に音楽を聴くのは断念せざるを得なかった。電車がゆっくりと動き出す。次の駅に着くまでの間に上手く場所を確保し、一応テスト前なので学生らしく何か勉強しようと思ったのだが、正直今朝電車の中で何をするか全く決まっていなかった。ならば今日の授業にあるライティングのプリントでも見よう…と思ったが…。
『やっぱりこの時間は混むか……ライティングのプリント(と言うか授業道具一式)忘れたかも…職員室に貰いに行くか…電車内で忘れ物に気づけただけまあよしとしておくべきだろ………あれ?』
そこで思考を止めた。止めざるを得なかった。いびきが聞こえたのだ。昨日の電車で聞いたものに似ていたのだ。いびきの速さ、音、高さその他が酷似していた。車両は同じ、違うのは電車の時刻だけだ。つまり無呼吸症候群の人物と二日続けて電車に乗り合わせてしまったことになる。もちろんいびきをいつまでも聞いている趣味はないので、そのとき思ったことは
『………音楽聴きたいな…』
だった。